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人・産業製造業のワンストップ 連携・協力で業績拡大

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例会で3Dプリンターの活用法に意見を交わす白河素形材ヴァレーのメンバー=8月22日、福島県西郷村
白河素形材ヴァレーは福島県の県南地方にある金属製品の鋳造や熱処理、加工などを手掛ける製造業10社でつくる複合企業体で、従業員は合わせて約750人に上る。東日本大震災で被災した企業を支援する県の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」への申請を契機に2012(平成24)年7月に白河市と泉崎村、矢吹町の企業で組織した。 コンセプトは製造の「ワンストップ」。金属の鋳造で生み出した素材を周辺地域の企業が熱処理やプレス加工し、自動車工場で稼働するロボット部品などを製造している。外注していた作業をグループ内で一元管理できるようになった。取引メーカーの注文内容や納期の情報共有も欠かさない。

メリットも生まれた。金属加工時に発生する廃材を鋳造会社が資材として購入するリサイクル体制を確立。売却、購入双方のコスト縮減につなげている。地の利を生かした運搬時間の短縮で作業効率もアップした。3Dプリンターを共同購入して新製品開発に役立てている。

勉強会や研修も活発で技能習得にも力を注ぐ。各社の代表者が定例で集まる意見交換の場も設けている。7月は日本貿易振興機構(ジェトロ)の協力で素形材産業が盛んなインドネシアとベトナムを視察した。国内外の見本市にも活発に参加し、海外企業と成約に至るなど着々と成果を挙げている。11月もタイで開かれる東南アジア最大規模の工業製品展示会「METALEX(メタレックス)」に出展する。

事務局を担うキャスト(白河市)の若林誠常務(47)は「各社の連携は緊密だ。加盟企業をさらに増やしたい」と規模拡大を視野に入れている。

(福島民報)