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こまちのおいしさ売り込め

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自社で栽培しているコメの出来を確かめる鈴木社長=9月20日、大仙市北楢岡
大仙市の農業法人「RICEBALL(ライスボール)」(鈴木貴之社長)は、首都圏や関西に手作りおにぎり専門店「ONIGIRI ICHIGO(おにぎり1合)」を展開している。自社生産のあきたこまちをおにぎりの形で提供し、食味の良さを消費者に直接伝える狙いがある。

ONIGIRI ICHIGOでは、大粒のみを選別した大仙市産のあきたこまちを使用。塩は男鹿市産、のりは皇室献上品を選ぶ品評会で最高賞獲得の経験があるアイザワ水産(宮城県東松島市)の商品を用いた。具材はシャケやタラコ、梅、シーチキンマヨネーズなど16種類で、1個100~200円で販売している。

ライスボールを立ち上げた鈴木社長(41)は地元出身。神戸市の人材派遣会社で働くなど、30歳ごろまで関西で暮らした。ビジネスの糸口をつかんだのは、当時実家から送られたあきたこまちを知人にお裾分けしたときのこと。「おいしいから1年を通して売ってほしい」と頼まれ、仕事になると確信した。

帰郷し、大規模農家からコメを買って売る事業を2009年に開始。徐々に取引先が増えてきたことから、13年には生産にも着手。12ヘクタールから水田面積を拡大し、現在は加工用米を含め80ヘクタールで栽培する。

おにぎりの販売は、食のイベントで提供したおにぎりが消費者に喜ばれたことに着想を得た。1人当たりのコメの年間消費量が減少傾向にある中、店名には「消費者にまずはお米を1合食べてほしい」との思いを込めている。

5年以内に30店舗開店の目標を掲げる鈴木社長は「コメを作るだけでなく、自分たちで商品化して売り込むという農家の形があることを示したい」と意気込んでいる。

(秋田魁新報)