とうほくを広げる

小縣方樹

2018年度のテーマは「とうほくを広げる」

河北新報社など東北6県の主要新聞社でつくる東北七新聞社協議会が地域活性化に向けた可能性を検証し、提案する「とうほく創生Genkiプロジェクト」は2018年度、「とうほくを広げる」をテーマに、観光や人・産業、食に注目して東北各地の先進事例を紹介する。

プロジェクトは16年度に「とうほくをみがく」をテーマに掲げ、17年度は「とうほくをつなぐ」と続けた。18年度のテーマには磨き、つないだ地域資源や魅力を面的に広げる狙いを込めた。PR大使は昨年度に続き、山形市出身の女優橋本マナミさん(33)が就任した。

18年度のキックオフとなる今回は、6月に東北観光推進機構会長に就任した小縣方樹さん(66)に東北創生への方策を聞いた。復興庁の18年度「新しい東北交流拡大モデル事業」に採択された東北七新聞社協議会の事業も紹介する。

橋本マナミ 1984年8月8日生まれ / 小縣方樹 1952年2月16日生まれ

東北観光推進機構 小縣方樹会長に聞く オール東北の連携に期待

—全国の中で後れを取っていた東北でも訪日外国人旅行者(インバウンド)が増え、その効果が出始めたが、地域経済の活性化にはさらなる誘致拡大が必要だ。東北の魅力と課題をどう見ているか。
「2017年のインバウンドの伸び率は全国トップだが、全体に占める割合は1・3%と絶対数はまだ小さい。東北の魅力はやはり自然だと思う。各地で四季折々の情景が楽しめる。他地域には絶対に負けない夏祭りや食材、酒、温かい人の魅力を組み合わせていくことで、東北らしさに磨きがかかる」

「仙台空港をゲートウェイにした国際線の拡大や2次交通の充実化は今後も取り組む必要がある。東北の観光地や2次交通の情報を一元的に得られるプラットフォームをつくることも重要。そこに交通手段やホテルなどの予約、決済の機能を付けたアプリなどができれば理想的だ。将来に向けて検討したい」

—広域連携の機運が高まってきた。
「前会長時代、6県知事による海外での合同プロモーションが実現した。自治体間に加えて、今後はDMO(観光地域づくり推進法人)の連携を強化したい。各地の地域連携DMOはコンテンツの磨き上げなどを頑張っている。それらをつなぎ、東北全体の視点で発信することが広域連携DMOである機構の役割だ」

—観光に携わる人材を育成するフェニックス塾は3期目に入った。
「業種を横断して若い人材が参加しており、1〜3期で塾生は100人以上になる。広域なネットワークが形成され、新しいアイデアが生まれることを期待している。会場を各県の持ち回りにしたり、毎回宿題を出すなど運営も工夫している」

—東北はアウトバウンド(出国日本人)需要が低迷している。
「東北各県はパスポート取得率が低い。観光は相互交流が基本で、インバウンドを受け入れるだけの関係は持続しない。国際線の就航でもアウトバウンド需要が鍵になる。姉妹都市など自治体同士の連携などで交流を促す仕掛けも有効ではないか」

—自治体や経済界に求めることは。
「インバウンドに県境は意味をなさない。効果を最大化するためにもオール東北の連携は必須だ。行動経済学的にもバラバラに情報発信をしていては届かない。熱心な自治体や企業が増え、底力は上がっている。機構が触媒となり、効果を東北全体に広げたい」

小縣方樹

プロフィール

小縣方樹

おがた・まさき 東大卒。1974年国鉄入社。JR東日本常務IT・Suica事業本部長、代表取締役副社長鉄道事業本部長、副会長などを務め、2018年6月から現職。66歳。東京都出身。

「東北七新聞社協議会 果物狩り体験ツアー提案」「東北の豊かさ 訪日客にPR」

酒蔵ツアー00

会津若松市の酒蔵で日本酒を試飲するツアー参加者=2月25日

東北七新聞社協議会は2018年度、東北の観光復興を目指し、訪日外国人客に果物狩りを体験してもらう誘客事業に取り組んでいる。東北各地でサクランボやモモ、リンゴ、ナシ、ブドウなどの収穫体験ができる旅行商品を提案し、東北の豊かな自然や果物の品質の高さをアピールする。

日本への関心が高まっているタイや台湾、西アジアを対象に売り込む。東京電力福島第1原発事故の影響で農産物の輸入規制を続けている国がある現状を踏まえ、訪日外国人客に果樹園で直接、果物を味わってもらい安全性への理解にもつなげる。

復興庁が募集した「新しい東北」交流拡大モデル事業に、協議会に加盟する福島民報社が「エクスペリエンス・フルーツ・ピッキング・イン・TOHOKU」の事業名で申請し採択された。モデル事業の採択は16年度に始まり、3回目。復興庁は新たな旅行商品の開発や誘客増に向けた効果的な広報活動を展開するために1件当たり3000万円を上限に助成する。協議会は17年度のモデル事業で、東北地方の酒蔵などを巡って地酒を楽しむ訪日外国人客向けツアーを提案し、好評を博した。

◇主催=東北七新聞社協議会(東奥日報社、秋田魁新報社、岩手日報社、山形新聞社、河北新報社、福島民報社、福島民友新聞社)

◇協賛社=アイリスオーヤマ、イオンリテール東北カンパニー、全農東北、日本政策金融公庫、明治安田生命保険ほか

◇協力=中小企業基盤整備機構東北本部

◇後援=青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県

【公式ホームページ】http://tohoku-genki.com/