「畜産の村」で復興目指す

田中社長
原発事故後初めて村で乳牛の育成を始めた田中社長=7月16日、飯舘村

東京電力福島第1原発事故に伴い村内全域に避難指示が出され、2017年には大部分の地域で避難が解除された福島県飯舘村。原発事故で生産休止に追い込まれた相双地方の酪農家が復興を目指して設立した会社「フェリスラテ」は今年から、同村で乳牛の子牛を成牛まで育てる育成事業に取り組んでいる。同社の田中一正(たなか かずまさ)社長(48)は「次の世代に受け継いでいくことができれば本望だ」と「畜産の村」の伝承に汗を流す。

同社は15年、福島市で「復興牧場」の運営を開始。福島県の酪農復興をけん引してきた。今年同村で始めた育成事業では、村内で生後2カ月のホルスタインの雌牛を20カ月程度育成した後、福島市の復興牧場に移す予定。次世代への継承に向け、若手や女性でも運営できる仕組み作りも検討中だという。

同社が村で育成事業を行っている場所は、原発事故前は村を代表するブランド牛「飯舘牛」を肥育していた「畜産技術センター」で、村の畜産の象徴とも言える場所だ。将来的には、県内の酪農家の子牛の受け入れのほか、和牛の繁殖や肥育を行うことも見据えている。「壮大な夢かもしれないが、実現させる」。田中社長は牛の鳴き声が響く牛舎で決意を口にした。

(福島民友)