平泉元気アクション!/ 世界遺産サイクリング9月5日 / HRAIZUMI元気アクションライブ9月22日

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世界文化遺産・平泉を 世界文化遺産・平泉町に。
平泉から “元気アクション!”

 
東北七新聞社協議会(※)が主催する「東北発ニッポン元気アクション」スペシャルプログラムとして、元モーニング娘。の高橋愛さんが平泉を二度訪れました。一度目は9月5日「世界遺産サイクリング」。二度目は9月22日「HIRAIZUMI元気アクションライブ」。これを機に平泉は、若者が訪れる世界遺産の町へと動き始めました。
 
 
観光客は増加したけれど…
見えてきた2つの課題

 
平泉が東北初のユネスコ世界文化遺産リストに登録されたのは平成23年6月26日。登録の正式名称は「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」。平泉町が一体となって長年取り組んだ結果として得られたかけがえのない名誉な出来事でした。

平泉町の観光客入込数は、平成元年~6年当時は250 万人前後。その後は急激に減少し、平成10 年~16年は170 万人弱と低迷。しかし、NHK の大河ドラマ、世界遺産への登録の話題とともに平成17年を境に増加に転じ、近年は200 万人規模にまで回復。昨年は欧米からの観光客も増え264 万人に達し、過去2番目の水準となっています。
確かに観光客は増えましたが、いくつか課題も見えてきました。ひとつは日帰り観光が多く中尊寺、毛越寺の2ヶ所のみの見学が多いこと、二つ目は20代を中心とした若者の観光客が少ないことです。
 
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サイクリングで“点から線、線から面”に!
ライブで若者を集客、“元気を発信”!

 
「東北発ニッポン元気アクション」では、この2つの課題を解決すべく2つのアクション施策を考えました。観光バスでやってきて中尊寺、毛越寺だけを見て帰る観光ではなく、自転車で巡り世界文化遺産・平泉町を肌で感じる「世界遺産サイクリング」。
そして、多くの若者を集客する音楽ライブを行い、ライブへの来場がきっかけで平泉の観光につなげようという「HIRAIZUMI元気アクションライブ」。
 
この2つのアクション実現のために白羽の矢を立てられたのが元モーニング娘。の高橋愛さん。高橋さんは昨年、日本全国の地域おこしプロジェクトを応援する「いいね!JAPAN」のオフィシャルナビゲーターとして実際に現地に赴き、自らが感じたことを本音で語ってきました。
また、昨年の大河ドラマ「平清盛」に藤原家成の娘・経子(つねこ)役で出演。奥州藤原氏とも遠縁にあたる役柄を演じているというご縁もあります。

 
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頭で学び、体で感じる
「世界遺産サイクリング」

 
世界文化遺産・平泉は中尊寺(金色堂、金色堂覆堂、経蔵、白山神社能舞台、中尊寺境内)、毛越寺(庭園)、観自在王院跡、無量光院跡、金鶏山、五つの資産で構成されています。それぞれの魅力を感じてもらうばかりではなく、自転車で巡ることで世界遺産と世界遺産の間に魅力的な風景や、名所や、お店に立ち寄ることができます。点ではなく線へ、そして、面で世界遺産を楽しもうと企画したのが「世界遺産サイクリング」です。
 
9月5日「世界遺産サイクリング」を高橋愛さんに体験していただきました。まずは自転車を借りにJR平泉駅前「ゴールドレンタ平泉」へ。色々迷った末に選択したのはまだ乗ったことがない電動自転車でした。電動自転車の加速感と楽な走行感にすっかり魅了された高橋さんが最初に向かったのは「平泉文化遺産センター」。出迎えてくれたのは「古都ひらいずみガイドの会の岩渕洋子さん。岩渕さんは元平泉小学校の校長先生をされていた方です。
 
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岩渕さんに案内されて館内に入る高橋さん。壁一面には奥州藤原氏の栄枯盛衰の歴史を物語るパネルと展示物が並ぶ、まさに“学び”の空間。
その情報量に圧倒されていた高橋さんでしたが、ちょうど自分が出演していた大河ドラマ「平清盛」と同時代で、藤原秀衡や源義経などの名前が随所に登場していたこともあり、興味をしめしてくれました。何よりもガイドの岩渕さんの解説がわかりやすく、親しみやすかったので高橋さんも熱心に耳を傾け、平泉の歴史と文化を楽しみながら学んでくれました。
 
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“頭で学んだ”平泉の後は、“体で感じる”平泉です。向かうは金色堂で有名な中尊寺。中尊寺では拝観だけでなく、初体験の写経にもチャレンジしました。
 
 
中尊寺金色堂
煌びやかさの影にある悲哀

 
中尊寺では、仏教の教えである「お経」を一字一字、心を込めて書き写し、迷いや汚れを拭い落として清浄な心を養う写経体験ができます。約1時間写経体験をした高橋さんは
「心が洗われた感じがします」
と、初めての神聖な体験に目を輝かせていました。
「写経は若い女性にもブームになっているので、サイクリングのプログラムに組み込んでもいいかもしれませんね」
と若者代表の視点も忘れない高橋さん。
 
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写経を終えた高橋さんは金色堂へ。まばゆいばかりの金で覆われた金色堂の華やかさに息を飲んで見入っていましたが、
「実は、この下には藤原清衡、基衡、秀衡のミイラ化したご遺体と泰衡の御首級が納められているんですよ」
ガイドの岩渕さんの解説に驚きを隠せない表情に変わった高橋さん。
 
「解説を聞かないで見ていると、表面的な輝きしか見えないので、そこに心が奪われるんですが、藤原四代のご遺体があると思うと厳かな気持ちになります。そうすると最初に見た印象とだいぶ変わってきますね」
 
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“滅び去った平泉”と“滅びざる平泉”
2つの名句を残した松尾芭蕉

 
中尊寺参拝後、「平泉農家茶屋」で名物のお餅「こがねもち三昧」や「はっと汁」をいただき腹ごしらえした後は自転車で高館義経堂へ。奥州平泉で非業の死を遂げた源義経を祀った高館義経堂は世界遺産ではありませんが、平泉随一の眺望が楽しめます。東に北上川と束稲山を望み、西から衣川が北上川に合流しています。
 
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松尾芭蕉はこの地に立ち、眼下に広がる夏草が風に揺れ光る様を眺め、100年にわたり平泉文化を築き上げた奥州藤原氏の栄華や、この地に散った義経公を思い、かの名句を詠みました。

 

夏草や兵共が夢の跡

 

この句の石碑の前で、岩渕さんは高橋さんに説明してくれました。
 
「これは、“滅び去ってしまった平泉”を詠った句です。金色堂では“五月雨の 降(ふり)残してや 光堂”という句を残していますが、こちらは朽ち果てていたものの変わらぬ輝きを残していた金色堂、つまり“滅びざる平泉”を詠った句です。松尾芭蕉の代表的な2つの句が平泉で詠まれているんですよ」
 
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世界文化遺産登録の根底
「浄土思想」を体感!

 
「何もないのに世界遺産ってすごいですね!」
高橋さんの素直な第一声に象徴されるように確かに無量光院跡は一見野原に見えます。しかし、無量光院は藤原秀衡が京都の平等院を模して建立した寺院の跡で、当時は京都の平等院をも上回る煌びやかな寺院でした。度重なる火災で焼失し、今日では土塁や礎石が残るのみではありますが、建物は全体に東向きに作られ、敷地の西には金鶏山が位置していたため、庭園から見ると夕日が本堂の背後の金鶏山へと沈んでいくように設計された、まさに浄土思想を体現できる地なのです。
 
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自然に還ってしまった無量光院跡から、今度は800有余年を経た現在も変わらずに残る浄土思想を庭園に表現した毛越寺の浄土庭園へ。
 
浄土(仏の世界)を地上に表現したと伝わる浄土庭園。大泉が池は浄水をたたえ、その周辺に、州浜、荒磯風の水分け、浪返しにあたる立石、橋のたもとをかざる橋引石、枯山水風の築山、遺水などの石組を配しています。
 
竜と鷁(想像上の水鳥)を模した竜頭鷁首(りゅうとうげきしゅ)。 池に浮かぶ二艘の舟を見て「乗りたかった~」と残念がる高橋さん。
 
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「でも、ここに立っているだけで不思議と気持ちがやすらぎますね」
 
高橋さんも浄土思想を体全体で感じているようです。
 
特別に本堂の中もご案内いただき、展示されてあった毎年春に行われる平安貴族の優雅な歌遊び「曲水の宴」の解説もしていただきました。
 
 
これからの平泉
それは、“若者たちが夢の場所”

 
世界遺産サイクリング」の締めは、ホテル武蔵坊の「弁慶の足湯舟」。高橋さんが湯に足を入れてくつろいでいると、宿泊客の若いご夫婦がやってきました。一緒に旅の疲れをとりながら、今日一日巡った平泉の名所の話に花が咲きました。
 
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足湯で一日の疲れが取れた高橋さんに「世界遺産サイクリング」を終えた感想を聞きました。
 
「古いイメージの平泉でしたが、実際に来てみると町がきれいで、自転車で巡るのにもちょうどいい広さだし、私の生まれ故郷福井に似ているところもあり、すごく親近感がわきました。平泉の歴史や文化を学んでからの方が楽しめますので、ガイドさんに案内をお願いすることをお勧めします。頭で学んで、体で感じる平泉は若者世代でもおもいきり楽しめる場所です。」
 
かつて、松尾芭蕉が「兵共が夢の跡」と称した平泉。これからは、「若者たちが夢の場所」と称してくれるよう “元気アクション”のバトンを少しでも多くの若者たちにつないでいきたいと思います。
 
平泉に若者の元気が集結!
「HIRAIZUMI元気アクションライブ」

 
9月22日世界文化遺産・平泉を若者の元気で盛り上げようと、「HIRAIZUMI元気アクションライブ」が行われました。場所は毛越寺の向かいにある平泉小学校の体育館。「世界遺産サイクリング」で高橋さんのガイドをしてくださった岩渕さんがかつて教鞭をとっていた小学校です。ガイド先で訪れる世界遺産の関係者のほとんどが教え子とのこと。岩渕さんにご縁のある場所でライブができるとあって、高橋さんも大喜びでやって来ました。

今回のライブは、高橋愛さんの他に東北に縁のある4組のアーティストが参加しています。宮城県仙台市出身のアコースティック・ユニット「イケメン’ズ」、福島県会津若松市出身のシンガー越尾さくらさん、岩手県宮古市出身の歌手みやさと奏さん、そして岩手県一関市の一関交響吹奏楽団の皆様です。
 
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ライブに参加するために岩手県内だけでなく、神奈川、群馬、兵庫、福井から多くの若者が平泉にやってきました。しだいに熱気を帯びてきた会場、熱気を和らげるため平泉の団扇も配られ、遂に開演。まずはトップバッターの「イケメン’ズ」が力いっぱいの歌声で元気を届けてくれました。続いて越尾さくらさんは観客を巻き込んで熱唱、一関交響吹奏楽団は今年大ヒットした「あまちゃん」のテーマ曲で盛り上げ、みやざと奏さんはしっとりと演歌を歌ってくれました。
 
いよいよ、高橋愛さんの登場。元気な楽曲「みかん」で一気に会場をひとつにする高橋さん。「I WISH」「雨の降らない星では愛せないだろう?」と心に染みる曲を続けていきます。MCでは9月5日の「世界遺産サイクリング」で巡ったことに触れ、ガイドの岩渕さんとの思い出も語ってくれました。そして、「LOVEマシーン」では他の出演者もステージに登場(イケメン’ズのお二人は次の公演のため残念ながら不参加)。
 
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最高潮に盛り上がりを見せたところで、ラストの曲「愛は勝つ」を会場のお客様と大合唱(「愛は勝つ」は、アップフロントグループの東日本大震災復興支援企画『がんばろうニッポン 愛は勝つ』プロジェクトの一環として、所属タレント131名によって歌われた楽曲)。平泉小学校体育館にいる全員が一つになり感動的なフィナーレとなりました。
 
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そして、最後はお客様にも参加いただき「平泉、元気アクション!」の掛け声とともに記念撮影。
 
「みんなと一体になれて盛り上がれてよかったです。元気をあげるはずが逆に元気をもらっちゃいました。これからも若い世代の人たちに平泉を知ってもらって、盛り上げていきたいと思います!」(高橋愛さん)
 
この日、参加した全員で生み出した笑顔と熱気の“元気アクション”は、平泉から東北へ、そして、日本全国へ……。
 
 
取材・文/小田実(ダブルクレイン)
写真/岩手日報社

※東北七新聞社協議会:東奥日報社、秋田魁新報社、岩手日報社、山形新聞社、河北新報社、福島民報社、福島民友新聞社