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人・産業海のゆりかご「アマモ」再生へ
官民が始動 来年は全国サミット開催

三方を海に囲まれた青森県は豊富な水産資源に恵まれている。その豊かな海の生態系を育むのが「海のゆりかご」と称される海草類。代表的な種に「アマモ」がある。
アマモは魚のすみかとしてだけでなく、光合成で二酸化炭素を吸収して酸素を供給し、海底・海中の窒素やリンを吸収して富栄養化を防ぐなど環境浄化の役割もある。国や県の調査によると、陸奥湾は日本一のアマモ群生面積を持つ一方、消失面積も大きい。2000年の調査では、1978年から約20年間で2千ヘクタール以上減り約4800ヘクタールになっていた。
陸奥湾のアマモを再生しようと、漁港整備などに携わる建設業者や漁業者、NPOらが立ち上がり、11年に「藻場づくり応援協議体」を結成。アマモの人工種苗生産や小学生対象の勉強会などに取り組み、本年度からは本格的に海底への種苗移植に着手した。県なども藻場造成事業に乗り出している。
同協議体のメンバーで、青森市のNPO「海の里づくり」理事の志田崇さん(33)=志田建設社長=は「貴重な資源が失われるのを見過ごすのではなく、自分たちができることをしたかった」と話す。
来年9月には、青森市で「全国アマモサミット」が開かれる。志田さんは「志を同じくする全国の仲間と交流を広げる絶好の機会」と話し「先進的な取り組みを参考にして、豊富な魚介類がすむ海を守るために、陸奥湾のアマモ場を再生したい」と意欲を見せた。

【東奥日報社】