目指すは大間マグロ超え
新鮮・美味アンコウ(青森県風間浦村)

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小雪が舞う厳寒の津軽海峡で9日、青森県風間浦(かざまうら)村の漁師たちがアンコウ漁に励んでいた。「きょう一番の大物だ」。蛇浦漁協の職員が重さ13キロ、体長1メートル近い魚体を持ち上げると、アンコウは大きな口をぱっくりと開けた。

冬の味覚を代表する高級魚。漁場が沖合1・5〜5キロと近く、ほとんどが生きたまま水揚げされる。一般的には底引き網が主流だが、風間浦の漁は、はえ縄の伝統漁法「空(から)縄釣り」や刺し網で、魚体が傷つかない。
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「漁場が近いから鮮度が高く、状態もいい。生の肝や刺し身を味わえるのは全国でもここだけ」。村内の水産加工会社「駒嶺商店」社長の駒嶺剛一さん(65)が胸を張る。

地元・下風呂温泉郷の旅館では12月から翌年3月にかけて、アンコウ料理のフルコースが楽しめ、村の冬季観光の目玉になっている。グロテスクな見た目とは違い身は淡泊で、定番の鍋は、皮や内臓まで余すところなく使う。クリーミーで風味豊かな肝は絶品だ。

村内の3漁協が出願していた「風間浦鮟鱇(あんこう)」の地域団体商標登録が2014年9月、特許庁から認められた。ブランド確立への大きなステップになると関係者の期待は高まっている。

アンコウで地域を盛り上げようと機運が盛り上がったのは10年。鮮度の高さが、東京・神田の老舗アンコウ料理店「いせ源」の目に止まり、取り引きが始まった。同年、村や3漁協、観光協会など村ぐるみの戦略会議も発足した。

関係者は、アンコウの脊髄に針金を通し神経を破壊して鮮度やうま味を保つ「神経締め」の作業や、気温や輸送時間に適した魚の処理方法など、試行錯誤を重ねながら、活アンコウの出荷ノウハウを確立していった。地元漁業者には、2キロ以下の小さいものは放流させるなど資源管理の意識を徹底。県の研究所と協力し、生態調査にも取り組んできた。

蛇浦漁協の中塚義光組合長(67)は「アンコウの商品価値が高まれば漁業者の励みになる。安定した水揚げや出荷先が確保できれば、漁業を継ごうとする若い人も出てくる」と力を込める。

人口2100人余の漁村。歩み始めたばかりの風間浦鮟鱇ブランドが地域活性化に向けて背負う期待は大きい。飯田浩一村長は「ブランド化をしっかりと漁師の所得向上につなげるのが村の責務」と語り、駒嶺さんは「しけで水揚げがない時の供給など、まだ課題は多いが、いずれ風間浦鮟鱇を(隣町の)大間マグロに追いつき、追い越すようなブランドに育てたい」と将来像を描く。
【東奥日報】