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観光一工夫で輝き増す資源/サクランボ、山寺、蔵王

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樹氷やスキー場が有名な蔵王だが、夏はロープウエーの夜間飛行で新たな魅力を見せる。今年は9月19〜23日も運行予定=山形市、蔵王ロープウェイ地蔵山頂駅
山形県には一工夫加えるだけで今以上に輝く観光資源が多い。例えば「朝詰みサクランボ」。有名なサクランボ狩りを「実が締まって甘みが凝縮している朝取りが一番おいしい」という農家の声でアレンジしたプランを販売したところ、首都圏から多くのお客さまが来てくれた。磨くことで新しい資源になり、新規客の開拓につなげられた。

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山形県は少し工夫を加えるとさらに輝きを増す素材が多いと語る杉田明彦JR山形駅長

山寺(山形市)は宝珠山立石寺の石段を登るコースが主流だが、JR仙山線を挟んで南側にある山寺芭蕉記念館側から宝珠山を望むと五大堂や開山堂と同じような高さから見渡せる。これも素晴らしい風景。スキーと樹氷で知られる蔵王は、神社や共同浴場がある温泉街の街歩きも魅力。夜景と星空を満喫できる蔵王ロープウェーの夜間運行「サマーナイトクルージング」も好評だ。

最近の旅行者は学びへの関心が高く、単に見るだけでは満足しない。触れて、学んで、味わうことで初めて感動していただける。ガイドなしでも知的好奇心を満たせるよう、環境に配慮しつつ高山植物の説明板を設置し、1人でもトレッキングを楽しめるようにしたり、歴史ある寺院巡りができる仕掛けをしたり、工夫次第でもっと来ていただける。そのために必要な要素の一つが駅からの接続交通の確保と周知だ。観光地そのものの宣伝も大事だが、具体的にどうやって行くのかを知らせることも重要。自治体の境界にとらわれない地域間連携、事業者間連携も不可欠だ。

満月に良縁を祈願する熊野大社(南陽市)の「月結び」、高級じゅうたんや鋳物などのものづくり力、そばやラーメン、ほかにも発信したい素材はきりがない。地元の方と資源を磨いたり結んだりして魅力を増し、地域経済活性化にもつながる仕組みを構築したい。
(山形新聞)