レコード針の代名詞「ナガオカ針」 国内外の需要が高まる

レコード針の検査

レコード針の検査。手掛けた製品は国内外の愛好者に親しまれている=10月6日、東根市・ナガオカ

歌手の桑田佳祐さんが6月にリリースしたシングル「ヨシ子さん」。若者の音楽文化についていけない〝おっさん世代〟の声を代弁する歌詞の一節に、レコード針を指す「ナガオカ針」が登場する。

ナガオカ(山形県東根市)が手掛ける製品はレコード針の代名詞的な存在。アナログ特有の味わいある音を求める国内外のレコード愛好者に親しまれている。

直径0・25ミリ、長さ1ミリ。ダイヤモンドとチタンを加工した主力の接合針は極めて小さく、顕微鏡をのぞきながらの作業が続く。「硬くて小さいものを加工する」技術がナガオカブランドの真骨頂だ。

1975(昭和50)年ごろ、ピーク時の生産は月120万本に達し、レコードの隆盛を支えた。しかし作れば売れた時代はCDの登場で終焉(しゅうえん)。レコードは急速に存在感を失った。針もデジタル化の波にのまれ、月産10万本を切るまでに落ち込んだ。

親会社は解散したが、製造部門である東根市の子会社は存続。得意の微細加工技術で測定器用の端子製造やマグネット加工などに事業の幅を広げ、針の生産はほそぼそと続けてきた。

近年はアナログ特有の魅力が見直され、レコード人気が再燃している。「オールドファンの回帰とともに若い世代に新しい文化として受け入れられている」と長岡香江社長(44)。針の生産も上向き、現在は月産20万本超に。海外需要も高まり、月30万本を来年の生産目標に掲げる。

音楽のウェブ配信が主流の中、針を作り続ける意味は何か? 「レコード文化を絶やしてはいけないという思い。何より世界中のユーザーが望んでいる」と長岡社長。ものづくり企業としての使命感がブランドを支え続けている。

(山形新聞)