山形ならではの酒を国内外に売り出すブランド戦略を加速

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「日本酒の日」の10月1日には山形県内各地で日本酒を楽しむイベントが繰り広げられた=山形市・ホテルメトロポリタン山形

国税庁は昨年12月、地理的表示保護制度(GI)の清酒分野で山形県産の日本酒を「山形」として指定した。清酒の国内出荷量が減少傾向にある中で、県酒造界はGI指定を追い風に、山形ならではの酒を国内外に売り出すブランド戦略を加速させている。

都道府県単位のGI指定はワインの「山梨」(山梨県)、焼酎の「琉球」(沖縄県)「薩摩」(鹿児島県)などがあるが、清酒では初。指定により消費者の信頼性や知名度の向上、国内消費と輸出の拡大といった可能性が広がる。

山形県酒造組合の仲野益美会長は「ワイン好きがボルドーやブルゴーニュに出掛けていくように、山形を訪れる外国の観光客が増えれば、地元に恩返しができる」と「GI効果」を展望する。同組合は認定酒に貼付するシンボルマークを作成したほか、海外市場として有望な香港、ロシアでキャンペーンを展開する。

県内54の酒蔵は土地の気候風土を反映した酒を育んできた。県独自の酒米開発、杜氏(とうじ)の技術研修などに取り組む中で、県全体で酒造技術を底上げする機運が高まったのが1987(昭和62)年。酒造会社の若手経営者、技術者、県工業技術センターの職員らが「県研醸会」を設立した。蔵元の壁を超え、技を隠さずに見せ合い、刺激し合うことが醸造技術の向上につながった。仲野会長は「山形の酒造りのベースには高い技術と団結力がある」と胸を張る。

今春には酒造好適米の新品種「雪女神」を使った県産酒がデビュー。「出羽の里」と「蔵の華」を交配した品種で、雑味となるタンパク質が少ないなど高級酒に向く特性を持つ。GI効果と合わせ、県酒造界は国内外に「山形の酒」の魅力を発信する絶好の機会を迎えている。

(山形新聞)