食効果を明示 考えさせる
アスリートヴィレッジ(山形県上山市)
学生の夏合宿でにぎわう山形県上山市の蔵王坊平アスリートヴィレッジは標高約千メートルに位置する。国内トップ選手の育成機関・ナショナルトレーニングセンター(NTC)の競技別強化拠点に指定され、高地トレーニングの適地として定着している。宿泊施設の蔵王ライザウッディロッジでは食材の効果を明示した料理をバイキング形式で提供し、選手に「考える食事」を促している。
夕食用の大皿料理が並ぶテーブルに大勢の高校生や大学生が列をなす。「疲労回復」「筋肉増強」…。料理のそばにブロッコリーや鶏肉など食材の栄養素を理解してもらうための説明書きが掲示されている。「野菜は取らないと」「ブロッコリーはビタミンCが多いらしいよ」。説明書きを目にし、料理をよそう学生の会話も弾む。
バイキング形式は好きなだけ食べられるが、食事の偏りも懸念される。選手には栄養バランスが求められるからこそ「食事への意識を高めてほしい」。献立を考える調理師の加藤朋美さん(28)は説明書きにそんな思いを込めた。
同市はスポーツ合宿誘致で連携する福島県北塩原村とともに管理栄養士の研修やNTCの食堂視察などを展開。「スポーツと食」の在り方について認識を深めてきた。関係者は「多くの人がスポーツと食のつながりに気付くきっかけをつくっていきたい」と口をそろえる。設備とともに食のサポートも充実させ、選手の成長を支えていく考えだ。
【山形新聞】