PR不足からの脱皮必要

interview

東北経済産業局長 守本憲弘氏

東北の経済状況は、大きく言えば東日本大震災から1年半ほどで回復したが、消費税増税の影響や電機・電子関係の輸出が伸びなかったことで、いったん下降局面を迎えた。現在は、そこから緩やかに回復しつつあると認識している。

一方で、電機・電子関係のウエートが低下し、自動車関連産業と医薬品が伸びるなど、東北の産業構造に変化の流れが見られる。消費は大規模小売店とコンビニの両方を入れると着実に伸びている。総菜や生鮮品などの食品が好調な一方、低迷しているのが衣料品。婦人服、子供服が継続的に低下しており、少子高齢化、単身世帯化を反映しているのではないか。

震災後は、公共事業の大幅な予算増があり、特に被災地での土木工事の需要が東北経済を下支えしてきたのは明らかだ。今後も、公共工事は高い水準で推移するが、昨年の後半から土木から建築へという動きが見られる。製造業は幅広い業種で能力増強の投資が増えつつあり、自動車産業、医療機器産業も広域的な枠組みでマッチングなどの取り組みを重ねている。中国経済の低下リスクは懸念しているが、観光など国内需要の盛り返しと、円安の継続による輸出競争力の強化で、徐々に民需主導に移っていくことを期待したい。

被災地の復興には、二つの大きな課題がある。まち(商業)と水産加工業の再生だ。特に水産加工は、津波の被災地域の基幹産業。施設は8割ほど復旧しているが、産業構造を震災前の状態に戻すのは不可能だ。高付加価値化と広域ブランド化が鍵となる。三陸全体を高付加価値な水産加工品の産地として、形成していく流れをつくりたい。

中小企業の支援は、各県に設置した「よろず支援拠点」を活用したい。ただ、経営者に拠点を利用する発想が根付いていない。そこで、金融機関、商工団体、税理士など、中小企業と普段から接している立場の皆さんに〝ホームドクター〟になってもらう。相談に乗りながら、よろず拠点に連れて行く。拠点で解決できないような問題には、さらに専門家を連れてくる仕組みをつくろうとしている。

人材面で言えば、東北人は真面目で忍耐強い。ものづくり、品質確保といった分野には強いが、自己表現は控えめに思える。それは企業経営にも反映されている。いいものを作っても、そのPRを気にしていない経営者がいる。そこからの脱皮が必要だ。また、東北はこれまで首都圏に対する人材供給基地だった。これからは、首都圏で成長した人材と仕事を東北の中小企業に戻す仕掛けづくりが必要だと考えている。UIJターンの研究会を近く立ち上げ、自治体、金融機関などと一緒に勉強していく。