大間—函館航路を活用した台湾人観光客の誘致に取り組む

大間港に入港するフェリー「大函丸」を大漁旗で歓迎する町民
「よぐ来たの〜」。本州最北の青森県大間町の岸壁で大漁旗を振る地元高校生や町民有志。視線の先にあるのは、同町と北海道函館市を1時間半で結ぶフェリー「大函丸(だいかんまる)」だ。

函館への病院通いに利用する町民もいるなど、大間—函館航路は生活航路の側面も持つ。下北半島を管轄する県下北地域県民局は2014年度から、この航路を活用した台湾人観光客の誘致に取り組んでいる。

注目したのは、函館市を訪れる台湾人客の多さだ。15年度の同市の外国人宿泊客数は過去最高の約40万人。中でも複数の航空会社が直行便を運航する台湾からの観光客は約23万人と過半数を占める。

台湾ゆかりの海上守護の女神が大間町で信仰されていたり、戦後下北の無医村に台湾人医師が赴任したりと、歴史的な結びつきもあるという。

「恐山(むつ市)、仏ケ浦(佐井村)の独特な自然景観、大間マグロをはじめとする豊富な海の幸、能舞などの伝統芸能、温泉と、下北には観光資源が充実している」。同県民局の神重則局長は下北半島の魅力を語る。

同県民局は台湾でのセールスや観光関係者向けの勉強会を行ってきた。むつ市観光協会も函館、下北を巡る台湾人客ツアーを実施し、手応えをつかんだ。今年3月には北海道新幹線が開業し、空路、鉄路、海路を使った「立体観光」の魅力も増した。

大間—函館航路を活用した台湾人客誘致は、危機感の裏返しでもある。下北は県内でも人口減少が顕著な地域。同航路は存続の瀬戸際に立たされたこともあった。

「国内外からの交流人口を増やし、地域住民の命綱である大函丸を守ることは、地域にとって不可欠」と神局長は強調している。

(東奥日報)