蚕で栄えた伊達市。受注生産中心から独自ブランドへ

椎名さん

「自社ブランドを自由なものづくりの足掛かりにしたい」と話す椎名さん=2016年10月6日、伊達市・大三

伊達市は、かつて蚕で栄え、今も繊維産業が盛んだ。しかし、メーカーからの受注生産が主流だった構造から、ここ数年、独自ブランドで勝負する方向へと転換が進みつつある。

ニット製造の「大三」。若手社員の柔軟な発想を生かしアイデアを取り入れた同社は、落ち着いた色合いの製品が多いニット業界にあって、カラフルなデザインの自社ブランド「ニジイロ キャンプ」を打ち立てた。東京で開かれるファッションの合同展示会「rooms」(ルームス)には2015、16年と連続で出展、好評を博している。

仙台市の百貨店もストールなど小物を取り扱うようになり、販路が拡大。独自路線の成功は若手社員のやる気につながり、職場環境に好循環が生まれた。

「自社ブランドを作った方が会社の未来は広がると思った」と営業企画課の椎名勇太さん(34)。自社ブランドの利点について「生産量や価格を決めやすい」と指摘する。「これまではレシピ通りに作っていただけだったが、お客さんに喜んでもらう責任感が増した。自由なものづくりができる足掛かりにしたい」

独自路線は大三が所属する県ニット工業組合でも広がっている。同組合は地元産品に注目、モモの枝やカキの皮などから抽出した染料で糸を開発し、独自の商品づくりに役立てている。天然染料は合成染料と比べて大量生産は難しいが、人の肌や環境に優しい。同組合は「だて染」としてブランド化したい考えだ。

大三の三品清重郎社長(59)は「大量生産をあてにしていては生き残れない時代になった。知る人ぞ知るブランドの方が元気がいい」と話す。「オリジナル」が繊維産業の隆盛への鍵とみている。

(福島民友)