東北の中小企業が元気になるために必要なのは何か

高村誠人さん

販路開拓や生産性向上の必要性を説く高村氏

中小企業の経営を支援している中小企業基盤整備機構東北本部長の高村誠人氏(60)に東北地方の産業活性化策を聞いた。

東日本大震災以降、東北の産業が抱える課題は。
「経済のグローバル化が進み、東北は復興とグローバル化への対応という2つの課題に取り組む必要に迫られている。地震・津波の被災地や東京電力福島第一原発事故の影響を受ける地域と、他の地域との二極化が進み、被災地では人手不足の傾向が顕著に表れている」

活性化に向け、どんな取り組みが必要か。
「新商品の開発や新たな市場の開拓が重要になる。東北に住む人は遠慮がちな面があり、積極的にビジネス展開をするのが苦手だ。ビジネスマッチングの機会を提供し、地域の産業をけん引するような事業所やグループを応援したい」

東北特有の地域資源を生かしたものづくりの成功例を教えてほしい。
「福島県会津若松市の坂本乙造商店は漆塗りの技術を生かした新製品を開発している。デジタルカメラの一部や高級車の内装など大手企業の製品に技術を提供するだけでなく、漆塗りのアクセサリーなど自ら新しい商品を作っているのが特徴だ。地域に根付いた技術を生かした一つの見本であり、こうした商品づくりは地域に人を呼ぶ観光資源にもなる」

東北が持つ潜在力を生かすには。
「情熱を持って取り組むことが大事だが、他地域からの目も重要だ。自分たちの良さを自分たちで気づくのは難しい。外部からアイデアを出してもらう流れができている事業所や地域は商品化や観光誘客にうまく結びつけている」

事業者間の連携が進んでいる。
「震災を機に、いくつかの企業が苦手な機能を一つに集約して会社をつくる新たな仕組みが広がりつつある。海外進出の分野でも事業所が一緒に販路を開拓し、市場のニーズを生かした新商品の開発を進めるなど、うまく仲間を集めて事業を展開する企業が出始めている」

東北の中小企業が元気になるために必要なのは何か。
「地域や国内の市場が小さくなり、これからは地域の外や大都市圏、海外に市場を広げる努力が不可欠になる。販路を開拓し、生産性を向上させなければ競争に勝つのは難しい。機構としては国内外のネットワークを生かし、大企業や海外企業とのマッチングを通して中小企業の発展を全力で後押ししたい」

高村 誠人(たかむら・まこと) 福井県福井市出身。豊橋技術科学大大学院建設工学修士課程修了。1982(昭和57)年、地域振興整備公団(現・中小企業基盤整備機構)採用。中小企業基盤整備機構震災緊急復興事業推進部審議役、新事業支援部審議役、経営支援部審議役などを歴任した。2015(平成27)年7月から現職。