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「飲むヨーグルト」を山村から世界に発信

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「飲むヨーグルト ザ・プレミアム」を容器に詰める公社の従業員=9月29日、新郷村・間木ノ平グリーンパーク内の加工場
十和田湖近くに位置する新郷村。人口は約2600人、森林が村の総面積の約8割を占める。キリスト伝説が残る自然とロマンにあふれる地域だ。

この山村から米国に輸出している商品が、新郷村ふるさと活性化公社が製造する「飲むヨーグルト ザ・プレミアム」。原材料は地元産の生乳とオリゴ糖、乳酸菌のみで、濃厚ながら甘さを抑えた味が特長だ。

新郷村は農家が乳牛を飼う「農家酪農」で県内の先駆けとなった地。その歴史をPRするため、村が整備を進めた食品加工施設の目玉商品として1995年、同公社は飲むヨーグルトの開発に着手した。

「当時メインに開発していたのはアイスクリーム。その合間にヨーグルトに取り組んだ」と同公社の角岸秀伸事務局長(48)は振り返る。それでも理想の味を追い求め、角岸さんら開発チームは約3カ月間施設にこもり、乳酸菌培養の実験に没頭した。

翌96年に村内で販売を始めたところ、口コミで広がり、県内外のスーパーからも引き合いが相次いだ。角岸さんは「味を左右するのは酪農家の技術。その原料の良さを引き出すのが私たちの仕事」と説明する。

2007年、熟成時間を倍にした「ザ・プレミアム」を発売した。16年、米ニューヨークのスーパーで開かれた青森フェアへの出品をきっかけに、米国への輸出が始まった。

冷蔵での賞味期限は17日間。船便で輸送するには冷凍する必要があった。「原材料がシンプルなので一度凍らせても分離せず、アイス屋から始まったので冷凍設備が整っていた」(角岸さん)。そんな条件も味方した。

米国と、既に輸出実績がある香港では現地の健康志向にマッチした。さらにカナダや東南アジアへの輸出拡大も目指している。

(東奥日報)