人気呼ぶディープな観光

村山慶輔
地域と触れ合うディープな観光の重要性を強調する村山慶輔氏

一般社団法人東北インアウトバウンド連合アドバイザーも務める、インバウンドビジネス戦略コンサルティング「やまとごころ」(東京)の村山慶輔代表取締役(43)にインバウンド(訪日外国人客)や東北の観光振興の現状、課題を聞いた。

ーインバウンドは国内全体的に伸びている。
「2018年に3119万人(日本政府観光局調べ)となったが、伸びは鈍化している。世界情勢、日韓関係の悪化などが影響を及ぼし始めている。インバウンドは今潮目を迎えている。『中身』もリピーターが全体の6割を占めるようになり、行き先も都市部から地方へと、より体験型、地域と触れ合うディープな観光が求められている。そういう意味では、豊かな観光資源がある東北は今がチャンスだ」

ーインバウンドは東北でも増加している。
「要因の一つに直行便の増加がある。観光誘客を東北から発信する努力と、現地旅行会社側のニーズがマッチしてきている面もある。ただ、東日本大震災から8年5カ月余となるが、東北産品の輸入制限や風評被害が完全にクリアになっておらず、いまだ懸念材料だ。東北は各地に特性のある観光資源があっても発信力が弱い。二次交通などの交通インフラが弱点と指摘されるが、まず観光客にとって目的地となる魅力づくりが最も大事だ」

ー東北の観光活性化のヒントは。
「海や渓流、浜の朝市、各地で独自性あふれる文化などディープな観光資源がある。バスや列車で地元の食、酒を楽しみながら旅するプランも一つの案。インバウンドに限らず国内観光客向けにも、生かし切れていない観光資源が足元にあることを再認識し、もっと活用する戦略を打ち出したほうがいい」

ー少子高齢化社会で観光人材不足が懸念される。
「地域住民との触れ合いが観光の大きなコンテンツだ。今は労働力としてみなしていない人たち、高齢者や主婦、学生たちが担い手として携わってもらう方法もある。地方は農泊、漁村泊などが強みだ。現在ある資源(人、施設)を活用すれば経済効果も生まれ、生産性が高まる。稼働していなかった人的資源に光を当て、よそ者の専門家や言語の課題を解決できる外国人など外的資源を生かしていくのが理想的だと思う」

ー持続的な観光振興の在り方をどう考える。
「観光の究極の形は移住。観光客がその地域、人、仕事に関心を高め、移住し仕事をする。そうすれば人手不足解消にもつながる。観光は『双方向』がキーワード。国内外の交流こそが安定的に観光客を伸ばしていく鍵だと思う」

村山慶輔

プロフィール

村山 慶輔

むらやま・けいすけ 米国ウィスコンシン大学マディソン校卒業後、インドで半年間のインターンシップを経て、総合コンサルティングのアクセンチュアに入社。さまざまなプロジェクトに従事し06年退社。07年にインバウンド観光に特化した「やまとごころ」を立ち上げ、企業、自治体向けに情報発信、教育研修、コンサルティングサービスなどを提供している。東京都在住。43歳、神戸市出身。