温湯温泉佐藤旅館/12年ぶりに入浴再開/2度の地震を克服

再開した佐藤旅館で入浴客を迎える阿部さん(左)=11月12日、栗原市花山

2008年の岩手・宮城内陸地震、11年の東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県栗原市花山の温湯(ぬるゆ)温泉「佐藤旅館」。一迫川沿いの秘湯として親しまれてきた一軒宿が11月12日、12年ぶりに日帰り入浴を再開した。

岩手・宮城内陸地震では源泉が枯渇、レトロ感漂う旧館は解体を余儀なくされた。修復を終えた翌年には東日本大震災が発生し、再び源泉が途絶え、資金面でも再建が厳しくなった。温湯温泉は平安時代末期に湧き出たといわれ、佐藤旅館は花山地区の観光シンボルでもあった。支援に乗り出したのは、地元の太陽光発電施設管理会社「花山サンゼット」の社長阿部幹司さん(48)だった。

地域おこし協力隊として8年前に花山地区に移住した。「地域の人たちにとても良くしてもらった」と当時を振り返る。

恩返しの思いを込め、佐藤旅館と事業を受け継ぐ契約を18年に結び、施設改修などを経て、日帰り入浴の再開を実現させた。旅館には昔と変わらない岩風呂を楽しみに、地元だけでなく県外からも湯治客が訪れる。来年4月には宿泊受け入れを再開させる予定という。

阿部さんは「佐藤旅館は栗原の宝。これからも地域に愛される旅館にしたい」と意気込む。

(河北新報)