人・産業化粧合板で秋田発信 木材と伝統技術を海外へ
国内では木造住宅や和室が減って木製化粧板の需要が減少する一方で、石の文化が中心の欧州では、木を使ったインテリアや建材の人気が高まっている。そこに着目して開発に数年かけ、2012年に製品を発売した。
スギやケヤキなどを薄くスライスした帯状の「突き板」を交互に編み込み(網代編み)、ホットプレス機で全面接着したのが特徴だ。これまで見られた突き板の浮き上がりが解消され、触っても破損しにくくなった。そのため、天井板などに限られていた用途が広がった。
能代市はかつて、秋田杉の集積地として「東洋一の木都」と呼ばれた。上村社長は「木を使った地元の伝統工芸・組子細工とコラボすることも考えている」と話す。
製品は今年、海外展開を目指す中小企業の商品開発や事業費を助成する国の「JAPANブランド育成支援事業」に2年連続で採択された。
1月にパリで開催された欧州最大級の家具見本市「メゾン・エ・オブジェ」では、アルマジロを使ったテーブルや照明などが注目を集めた。現地の代理店との商談がまとまれば、この秋には初の海外輸出が実現する見込みだ。
3種類の突き板を組み合わせるなど編み方は6通り。木の種類に応じて多彩な模様と風合いが表現できる。上村社長は「商品を通し、緑豊かな秋田の良さを発信できたらうれしい」と意欲を語った。
(秋田魁新報)