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インタビュー新たな人の流れをつくりだす

内堀雅雄福島県知事

震災と原発事故で課題が複雑化する中、復興策と連動した地方創生を語る内堀雅雄福島県知事
本県人口は震災後、約10万人減り、人口減少が全国で最も厳しい状況になった。だからこそ「地方創生」のトップランナーになれるよう、真剣に人口減少対策に向き合う必要がある。策定する県の総合戦略では復興の取り組みと連動し、「新たな〝しごと〟を生み出し、新たな〝ひと〟の流れをつくりだす」ことが大きなテーマと考えている。

そのためには若い世代の働く場の確保が必要だ。既存の第1次産業や商工業の再生を進める。併せて復興施策として、原発の廃炉研究開発拠点やロボット研究・実証拠点などを整備する福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の推進、再生可能エネルギーや医療機器関連などの重点推進産業に関わる企業立地の支援などに取り組んでいる。

総合戦略ではこれらに加え、地元の大学や高校などの教育機関、産業界と連携して新しい産業などを担う人材を育成し、定着してもらう、そして県外からも若者が戻ってくるような仕組みづくりが重要になる。高校生や学生が実際に最先端産業などの職場を体験するインターンシップを企業と連携して進め、就職活動や企業とのマッチングの取り組みを強化するなど、未来を担う若者の定着や県外からの「還流」を図りたい。

地域にある既存の産業を再生、成長させ、若者の働く場を多く確保することも重要だ。基幹産業の農林水産業では、外部や民間の視点を生かした地域産業6次化への支援や、消費者の健康志向を踏まえ、有機農産物や薬用作物などの機能性、栄養素などに注目した取り組みを推進するなど付加価値を高め、生業(なりわい)として成り立つような取り組みを重点的に進めていく。

地域農業をけん引する法人や企業などを積極的に育成、誘致する。企業の農業参入に対応するワンストップ窓口を設置し、企業ニーズに応じた相談対応、地域とのマッチングの促進、安定した生産につながる技術支援など、きめ細かな対応を考えている。

大震災と原子力災害により地域の課題が複雑、多様化している中、「地方創生」を進めるには住民に身近な市町村との連携が極めて重要だ。市町村と県が一体となり、知恵を出し合いながら果敢に挑戦し、地方創生のフロンティアを切り拓(ひら)いていきたい。

(福島民友)