インタビュー自然、良質な資源 世界へ
東日本大震災では多くの犠牲者を出した。復興のプロセスは人間本意の復興を進めている。その中で、沿岸地域では全国と異なる人口の動きをみせ、20歳から24歳までの人口が増加している。人口減少は決して消滅への序章ではなく、移住・定住に向けたチャンスでもある。
戦後岩手の人口流出が最も少なかったのは1995年。当時は329人しか流出がなかったが、知事に就任したころは年間7千人に上った。95年前後は本県の景気が良く、一方で都会はバブル崩壊の余韻で景気が悪かった。さらに国の経済対策が地方に手厚く、効果が出る格好になった。
働く場所が地方にあれば、人口流出を防ぐ大きな要素になる。給料面では最低賃金が過去最高となり、人口減少対策に効果が期待される。都会との逆転は難しいが、生活費がかからない、豊かな自然に恵まれスキー場に行けるとか、福祉や教育など環境面で好条件を増やす。
さらに、盛岡市のコンベンションの補助金優遇制度に合わせて、学会や大会で訪れた団体に沿岸被災地へのバスツアーを補助して交流人口拡大も図る。開設した結婚サポートセンターで、若い世代の出会いを応援し結婚から妊娠、出産、子育てを切れ目なく支援する。昨年から開催する若者文化祭や岩手若者会議など、若い人が主体的に参加できるチャンスを増やし、行政に話ができることも大事だと考えている。
岩手ゆかりの漫画家による作品集「コミックいわて」(県、岩手日報社発行)は来年、5冊目を発行する。ウェブと連動しながら漫画で観光物産を売り込むのではなく、クオリティーの高い作品を通して岩手の良さを伝えたい。
本県は人口流出ゼロに|という目標持っている。国の政策と地方の政策がマッチすれば過去の実績もあり、「やればできるはずだ」という信念を岩手が一番強く持っているのではないか。
(岩手日報)