観光文化体験のために訪れた元学生たちが八幡平市とタイの懸け橋に
自然に恵まれ、外国人観光客数が年々増加している岩手県八幡平市が「新たな市場」と開拓に力を入れているのが、民間レベルでの交流が長年続くタイだ。
同国との交流は、文化体験のため同市を訪れる同国の名門タマサート大の学生を、市ホストファミリーの会(鈴木信一会長)が受け入れた旧西根町時代の1995年にさかのぼる。交流は現在も続き、受け入れ数は延べ約300人となる。
政府機関や日系企業、旅行業に就く来日学生も多く、この縁をインバウンドに結び付けようと市観光協会は2014年、タイ語の観光パンフレットを作製した。
ホスト家族経験もある田村正彦市長が同年、タイで開かれた訪日旅行フェア会場でパンフレットを配布。16年にも、同国での国際旅行博に参加し、市をPRした。現地での交通案内や通訳を務めてくれたのは、いずれも元受け入れ学生たちだった。
交流10年と20年の節目の年に会員とともにタイを訪れ、旧交を温め続けている鈴木会長は「受け入れ学生たちが、八幡平市とタイの懸け橋になってくれている」と成果を強調し、目を細める。
市によると昨年度、市の観光客入り込み数は約176万人で、うち外国人観光客は約3万人。現在は年間40%増で推移している。
国際情勢が外国人観光客数を大きく左右する中、数年前まで200人前後だったタイからの観光客は昨年度に400人を超えた。市は数年以内に年間千人規模までの成長を見込む。
これまでの交流実績を生かし、誘客事業展開を目指す市商工観光課の多田和雄観光振興係長は「タイの方々は雪を好む。市内観光関係団体とも連携し、冬の体験メニュー提案など、仕掛け作りが重要になる」と今後を展望する。
(岩手日報)