食5酒蔵の若手経営者、従来の手法にとらわれない柔軟な発想で酒造り
発足は2010年4月。日本酒の消費量が落ち込む中、酒蔵の垣根を越えて情報交換し、互いに技術を磨くのが目的だ。メンバーの酒蔵を持ち回りで使い、麹こうじ造りや酒母造りなどの仕込み作業を分担して一つの酒を醸造する取り組みは今年で7年目を迎え、商品は主に首都圏の日本酒専門店に出荷されている。
メンバーは、秋田醸造(秋田市)、山本合名(八峰町)、福禄寿酒造(五城目町)、新政酒造(秋田市)、栗林酒造店(美郷町)の社長5人。
昨年からは異業種とコラボレーションした日本酒を販売する。第1弾は、メンバーの一人と親交のあるテクノミュージシャンで、日本酒好きとして知られるリッチー・ホウティンさんと純米大吟醸酒を企画。ワインやウイスキーの熟成に使うたるで3週間貯蔵した後、約千本(1本720ミリリットル入り)を米仏やスペインに輸出した。
異業種コラボの狙いについて、ネクスト・ファイブの代表を務める秋田醸造の小林忠彦社長(54)は「これまで日本酒に興味のなかった人が商品を手にするきっかけになる」と語る。今年の夏は第2弾として、世界的なアーティスト村上隆さんにラベルのデザインを依頼。限定の純米大吟醸酒を発売した。
今月17日には、県内14酒蔵の日本酒が楽しめる野外イベントを初めて開き、幅広い年代層でにぎわった。小林代表は「これからも前例のないことに挑戦し、秋田の酒の地位を高めたい」と語った。
(秋田魁新報)