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人・産業「磐城杉」の焼き印を入れて最高級の割り箸をブランド化

従業員と製品を確認する高橋社長

従業員と製品を確認する高橋社長(中央)=福島県いわき市、10月7日
福島県いわき市の木材加工業の磐城高箸(いわきたかはし)は同市産の杉を用いた高級割り箸を製造・販売している。

高橋正行社長(42)は神奈川県横須賀市から祖父ゆかりの地であるいわき市にIターンした。良質の杉が最高級の割り箸材となることに着目し、2010(平成22)年に同社を設立。機械調達や試作に励んでいた時に東京電力福島第一原発事故が起きた。放射性物質検査を受け安全性を確認したが、風評が心配だった。結果をインターネットで発信する一方、「風評は消費者の心理作用。それを上回る魅力をつくる」と高級路線に活路を求めた。

安価な外国産が市場を席巻していた。「たかが割り箸」との印象を覆そうと、丸みを帯びた形が美しい24センチの「利休箸」の規格を選び、「磐城杉」の焼き印を入れてブランド化した。

いわき市と宮城県栗原市、岩手県陸前高田市の杉を使った三膳セット「希望のかけ箸」が全国の間伐材利用コンクールで入賞したのを機に、復興や林業に携わる関係者の注目を集めた。県内外の物産店や官公庁、企業に販路が広がった。2014(平成26)年には復興庁のビジネスコンテストで大賞に輝いた。今年1月の第1回ふくしま経済・産業・ものづくり賞(ふくしま産業賞)では福島民報社奨励賞を受けた。現在、従業員7人で月に数万膳を生産している。新たな製品として、チップ状にした割り箸を詰めた枕「眠り杉枕(ねむりすぎまくら)」を開発・発売した。

市内の林業者から間伐材を買い付けている。高橋社長は木材価格の低迷により、林業が衰退するのを懸念する。「間伐材を使った高付加価値の製品を作り続け、林業を元気にしたい」と張り切っている。

(福島民報)