人・産業仙台みその「伝統継ぐ」佐々木さん
検定はみそ製造の知識と技能を審査する厚生労働省の制度で、1979年に始まった。1級は7年以上の実務経験が必要になる。宮城県職業能力開発協会によると、県内の合格者は1級が94人、2級が148人。みそ製造の現場は原材料の運搬など力仕事が多く、女性は少なかった。
佐々木さんは栗原市出身で山形大大学院農学研究科修了。2008年に入社した。「微生物相手で同じように仕込んでも味が違う。そこが難しく面白い」とみそ造りに魅了され、1級技能士を目指した。
15年2月に次男を出産。16年4月から在宅勤務で発酵の生産管理をしながら、子どもたちを寝かせた後に試験勉強に集中した。会社の同僚で1級技能士の夫(42)が必要な書類を家に持ち帰り、生産や試験のアドバイスもした。
学科・実技試験は今年1、2月に行われた。普段造っている米みそだけではなく、麦みそや豆みその知識や技術、細やかな味覚も問われた。育児と仕事試験勉強を両立させた結果、見事に合格した。
佐々木さんは現在、現場に復帰し、みその生産管理を続けている。「在宅勤務や育児を後押ししてくれた会社や家族の協力があり、合格できた」と振り返り、「今後は技術を高め、さらに素晴らしいみそを造りたい。女性の視点を生かして、新商品も開発したい」と抱負を語った。
(河北新報)