人・産業人口が減る中で企業を成長させるには人材が大事
2013年6月、栃木ダイハツ販売社長だった松沼光男氏(64)が青森ダイハツ社長に就任すると、働き方改革に取り組んだ。残業時間を削減しオフィスを改装。女性整備士がいる店舗には更衣室を設置するなど、社員が働きやすい職場環境づくりに力を入れている。
青森石江店(青森市)の整備士山口怜奈さん(21)は「重い部品を持つ時はほかの人が助けてくれるし、分からないことは丁寧に教えてくれる。女性で困ることはありません」と笑みを見せる。
人材育成も重視する。社員教育を手掛ける東京の企業が実施するセミナーに女性社員を派遣。参加者は全国から集まる受講生の刺激を受けながら、スキルアップにつなげている。
松沼社長の根底には、人口減少への危機感がある。「人口が減る中で企業を成長させるには人材が大事。能力が高いのに、『女性は一歩引いて言われた仕事だけをやればいい』ではもったいない。男女共に活躍できる風土をつくるのが私の役目」と強調する。
女性社員が企画、運営するイベントに、地元の作家が手作り雑貨などを販売する「ダイハツマルシェ」がある。屋根付きの中古車展示場を活用し、毎回親子連れらでにぎわう。9月10日の5回目は約90店が出店予定だ。
「マルシェをやっても当社のもうけはゼロ。車の宣伝にもならない。地域の活性化になればという思いで続けている」。松沼社長は長い目で見つめている。
(東奥日報)