中野イベント2017東北復興大祭典なかの
写真はいずれも10月28日、東京・JR中野駅周辺で撮影
和牛ステーキで東北応援「みんながハッピーに」
東北の力を結集して生産された和牛が、雨の中集まった大勢の人たちにパワーを与えた。Genkiステーキのブースでは、2日間で予定を上回る650食が完売。宮城県産ひとめぼれを使った「Genkiむすび」と一緒に頬張る人もいた。
「東北和牛」は岩手県一関市の藤沢牧場で繁殖した牛を東北6県で肥育したJA全農グループの新ブランド。赤身の軟らかい肉は脂っこさがなく、肉本来のうま味を楽しめる。ステーキや焼き肉向きで、霜降り肉が苦手な人もおいしく味わえるという。
子牛の繁殖はJA全農北日本くみあい飼料(仙台市、守江寛社長)が担うが、肥育農家に子牛を売るのではなく、委託管理料を支払って肥育してもらっている。牛に与える飼料を同社が肥育農家に提供し、農家が安定した収入を確保できる仕組みにしている。
Genkiステーキはサイコロ状にカットした肉を塩こしょうで味付けして提供した。中野区の井手慎一朗さん(49)は「香ばしくて軟らかく、とてもおいしい。普段から福島産など被災地の物産を買うようにしている。今後も応援していきたい」と話した。
ステージでは橋本マナミさんと守江社長がトークを展開。橋本さんはステーキを試食し、「かめばかむほど肉のうま味が出てくる」と笑顔を見せた。守江社長は東日本大震災で畜産業が打撃を受け、生産者が減少した現状を紹介。「消費者に安全・安心なお肉を届けたい。生産者も経営が安定してみんながハッピーになれればいい」と述べた。
東北七新聞社協議会は「Genkiプロジェクト」について説明。少子高齢化や過疎化などを乗り切るため、新聞の情報発信力を生かして観光や食などの魅力をアピールし、活力を生み出そうとしていることを紹介した。
会場では東北各地の祭りや郷土芸能も披露され、イベントを盛り上げた。
JA全農ブース「新米やリンゴ・広くアピール」
JA全農は東北の恵みを東京で味わってもらおうと、各県産の新米やリンゴなどを販売した。各県の果実を原料としたジュースやゼリー、玉こんにゃくといった加工品も人気を集めた。
新米は各県の銘柄を食べ比べできるよう約300グラムに小分けし、特徴や名称の由来を記したパッケージで販売。リンゴは品種による違いをスタッフが丁寧に説明して「東北産」をPRした。
全農は東北全体で特産品を売り出すプロジェクト「全農東北」を展開している。総合企画部事業開発課調査役の佐々木章さんは「これをきっかけに東北産農産物の魅力を首都圏の消費者に認識してもらい、継続的な購買につなげたい。加工品販売にも力を入れていることを知ってほしい」と話した。
橋本マナミさんインタビュー「東北の魅力発信したい」
プロジェクトのPR大使を務める山形市出身のタレント橋本マナミさんに東北への思いなどを聞いた。
—イベントを振り返って。
「あいにくの雨だったが、多くの人でにぎわっていた。今年は東北和牛を提供し、皆さんにとても喜んでもらった。こうしたイベントで東北の魅力を知ってもらい、観光振興につなげられたらいい」
—東北和牛の感想は。
「赤身肉は栄養価が高く、筋肉にもなる。日頃からトレーニングをしているので、私もよく食べている。東北和牛はとてもおいしく、大満足。生産現場の苦労が分かり、ありがたみも感じる」
—東北を元気づけるためどう活動していくか。
「震災を風化させてはいけない。東北の人たちは積極的というより、どちらかといえば控えめな感じ。まだまだ知られていない東北の魅力はたくさんあるので、テレビや雑誌などで発信し続けたい」
【主催】東北七新聞社協議会(東奥日報社、秋田魁新報社、岩手日報社、山形新聞社、河北新報社、福島民報社、福島民友新聞社)
【協賛社】イオンリテール東北カンパニー、日本政策金融公庫、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会、明治安田生命保険、ポーラ、ヤクルト本社ほか
【協力】中小企業基盤整備機構東北本部
【後援】青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県