人・産業北国の知恵生かし食品を長期保存
青森市の大青工業は、先人の知恵を応用し、鮮度を保ったまま食品を長期保存できる冷蔵機器を開発、製造販売している。食品が凍り始める直前の温度「氷温」を維持し、鮮度やおいしさを保つ。庫内温度のばらつきを0・05度以下に収める高い技術が特長だ。
「寒干しにはうま味を凝縮させる効果もある。これは北国の『恵み』と言える」と鳴瀨正彦社長(55)は強調する。
氷温を使った冷蔵機器は主に、青森県の特産品であるリンゴやニンニク、ゴボウ、活魚などの貯蔵に使われている。近年はかんきつ類やパイナップルなど南国の作物にも応用。遠隔地でのメンテナンスを容易にするため、人工知能(AI)と「モノのインターネット」(IoT)を使った冷蔵機器の導入も始めている。
「農産物の高付加価値や出荷時期の調整が可能になれば、生産者の収入増につながる。地域経済やあらゆる産業に波及する氷温技術をもっと広めたい」と鳴瀨社長は意欲を示す。
(東奥日報)