食きつねみそっかす鍋
福島県白河市東地域のひがし商工会は郷土色豊かな「きつねみそっかす鍋」を土産用として売り出す取り組みを進めている。鍋は、地元の観光名所「きつねうち温泉」を運営するひがし振興公社の協力を得て考案した。
東地域は市町村合併前の旧東村で、酒やこうじなど発酵文化が根付いる。寒い時期に酒かすと塩ザケ、里芋の茎を乾燥した芋がらを入れた鍋料理を家族で囲む習慣がある。
商品化のきっかけは、平成十七年に埼玉県和光市で始まった国内最大級のニッポン鍋合戦だった。主催者から出場の打診を受けた商工会は「酒かす鍋」で参加した。
今年一月の第九回鍋合戦に合わせ、酒かす鍋に改良を加えて「きつねみそっかす鍋」を完成させた。材料はすべて地元産で、健康な鶏を惜しみなく使ったぜいたくなスープに酒かすとみそを加えた。芋がらと野菜、鶏肉団子のほか、きつねうち温泉をPRするため、油揚げを使った餅巾着も入れた。結果は四十八鍋中二十四位だった。来年の第十回鍋合戦では、さらに改良を加え、より上位を目指す。
現在は鍋を土産用として売り出すため、材料の保存法や味付けに知恵を絞っている。商工会長の高橋健さん(63)は「東京電力福島第一原発事故の風評を払しょくするためにも食の魅力を全国に発信しなければ」と強調する。メンバーの一人我妻栄一さん(54)も「『東といえばみそっかす鍋』となるよう知名度を高めたい」と力を込める。
【福島民報社】