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北国の保存食「飯ずし」を全国で出張販売 / 熊谷食品(青森県弘前市)

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手際よくニシンの飯ずしを作る熊谷食品の従業員=10月4日、青森県弘前市
魚や野菜をもち米や麹(こうじ)で発酵させた「飯(い)ずし」。北国の伝統的な保存食として親しまれている。青森県弘前市の食品製造販売「熊谷食品」は全国各地のデパートなどの催事で飯ずしを販売し、発酵食、健康食ブームにも乗って人気を集めている。

同社の飯ずしは、ニシンやサケ、ハタハタ、サンマなどの魚やタケノコを酢にひたし、もち米やニンジン、ショウガと一緒に漬け込み、熟成させる。熊谷孝志代表取締役(70)は「締めさばはおいしいが、飯ずしは水分を抜くのでさらにうま味が凝縮される。『生臭い』と魚を敬遠する人にも食べてもらえる」と説明する。

同社は、大根を白菜で巻いた看板商品の漬物「葉くるみ漬」などと共に、飯ずしを全国の物産展で出張販売。出店数は1カ月で平均12〜15カ所に上り、一度に4カ所を掛け持ちすることもあるという。

熊谷代表は「関西や九州では飯ずしになじみがない人がほとんどだが、試食すると『おいしい』と言ってもらえる」と頬を緩める。マリネ風の食べ方を勧めるほか、海外からは「パンに挟んでサンドイッチとして食べたらおいしかった」との知らせも届いたという。北国伝統の味が広がりをみせている。

(東奥日報)