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インタビュー「全農東北」プロジェクト事務局の長野光憲氏に聞く / 6県は一つの産地

長野光憲
「全農東北」プロジェクト事務局の長野光憲人氏
全農は東北6県を一つの産地として捉え、農畜産物と加工品の販売力強化を図る「全農東北」プロジェクトに取り組んでいる。事務局の長野光憲氏にプロジェクトの内容や東北の農畜産物の魅力、課題を聞いた。

―プロジェクトの主な取り組みは。
「6県の全農県本部が連携して2015年に始まった。事務局メンバーや県本部関係者らが会議を月1回開き、個別案件の進め方や課題を検討してきた。現在は本格的な活動期に移っている」
 「一関市の藤沢牧場で生まれた子牛を6県の畜産農家で肥育し『東北和牛』としてブランド化した。東北和牛の具入りのおにぎりや精肉を首都圏などで販売し『赤身独特の柔らかさがあっておいしい』との声も届いている」

―東北は全国有数の米どころでもある。
 「プロジェクトでは6県を代表する銘柄米を詰め合わせたギフトを、年内に商品化することを目指している。東北のおいしいコメをぜひ食べ比べてほしい。全農のネット通販『JAタウン』などでの販売を検討している」

―東北の農畜産物の魅力は何か。
 「『東北にはおいしいものがいっぱいある』というイメージは強みの一つだろう。6県にそれぞれの農畜産物のブランドがあるが、6県がまとまると産地としてインパクトが大きい。農林水産省によると、16年の6県の農業産出額は1兆3886億円で、国内シェアの15%を占めている。日本の『食料基地』である北海道の1兆2115億円を上回った」

―どのように東北の農畜産物を売り込めばいいのか。
「催事や会員制交流サイト(SNS)を通じて東北の農畜産物を知ってもらうことが、まずは大事だろう。プロジェクトは今月下旬、東京・中野の大きなイベントに出展し、東北和牛のサイコロステーキや精米、果物などを売る。専用のフェイスブックも作り、催事の出展予定や商品紹介などを発信していく予定だ」
 「消費者向けの活動に力を入れるとともに、生産者や産地に目を向けた取り組みにも力を注ぐ必要がある。以前は顧客のニーズよりも生産者が良いと思うものを作る傾向があったが、顧客が求めているものを作らないと売れない時代に入った。実需に基づく産地振興も、プロジェクトの大きな方向性の一つだと思っている」

長野 光憲氏

プロフィール

長野 光憲

ながの・みつのり 大分大卒。1992年全農入会。生産資材部、総合企画部震災復興課などを経て2018年4月から「全農東北」プロジェクト事務局。東北営農資材事業所副事業所長も務める。50歳。福岡県出身。