食海峡サーモン 身質、技術 /「荒波育ち」
幼魚となるのは、淡水で2年間育てたドナルドソンニジマス。海水にならす馴致(じゅんち)の工程を経て、晩秋から夏場にかけ、沖合のいけすで養殖する。冷たい北の荒波が、締まった身と上品な脂の乗りのサーモンを育てる。
養殖が始まったのは1989年。生存率や価格の低迷、自然災害によるいけすの破損など、幾度となく困難に見舞われた。それでも試行錯誤の結果、近年は漁獲量、売り上げともに右肩上がり。2019年は、養殖30年で初めて漁獲量が100トンを突破した。
濵田勇一郎組合長(53)は「自然が相手で、思うようにいかないところにこそ楽しさがある」と笑う。
旬の6月に開かれる「海峡サーモン祭り」は94年に始まり、現在は1万人以上が訪れる催しに成長した。切り身、缶詰など加工品開発にも力を入れる。
濵田組合長は「祭りも加工品も、サーモンを知ってもらうのが一番の目的。遠方からでも下北に足を運んでもらうきっかけの一つになれば」と語った。
(東奥日報)