人・産業避難指示解除の村で奮闘/福島の鍛冶職人二瓶さん
福島市の金物屋「刃物の館やすらぎ工房」の4代目。2011年から鍛冶が盛んな新潟県三条市で修業を積み、職人としての技を本格的に学んできた。工場の建設先を探していたとき、避難指示が解除された飯舘村にある旧幼稚園舎を紹介された。炉などの機械を整備し、19年、原発事故後初の村内進出企業となった。
工場では現在、大きさや種類の異なる約20種類の刃物を製造する。牛刀や菜切り包丁、ペティナイフなど、多様な刃物は評価が高く、海外への販売も好調だ。
この場所で二瓶さんの新たな挑戦も始まった。それは刀匠として日本刀を作り上げること。仕事の傍ら同市の刀匠の元に通い、日本刀づくりの基礎を学ぶ。
「今後は鍛冶の体験教室も開きたい。この地の活動を通じて村のことを知ってもらい、多くの人が集まる場所になってほしい」。二瓶さんは思いを胸に金づちを振り続ける。
(福島民友)