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活きる食/癒やしの富谷茶 畑どんどん再生 @宮城

住宅地に近い既存の茶畑で行った今春の茶摘み=5月27日、宮城県富谷市
仙台市の北隣の富谷市で、江戸時代から1970年ごろまで生産された「富谷茶」を復活させる動きが活発だ。今も残る茶畑を再生し、新たな苗木を植える。商品化に向け、原木を増やす事業にも着手した。

2018年度に復活プロジェクトが本格始動し、市シルバー人材センターが中核を担う。施肥や剪定(せんてい)などの栽培管理に当たり、既存の茶畑では毎年5月に新茶を摘む。製茶も行い、市内のイベントで振る舞う。

事業開始時に比べ、葉の量が増え枝も丈夫になってきたという。「手をかければかけるほど応えてくれる」と事務局長の亀郁雄さん(64)。指導する茶舗「大竹園」(仙台市太白区)専務の大竹英次さん(40)も「柔らかく優しい味わいがある」と評価する。

10月27日、会員ら8人が秋の剪定に励んだ。18年に植えた若い苗木が順調に育ち「来春は茶摘みができそう」と声が弾む。新旧の茶畑で収穫できる見通しだ。

原点は奥州街道の宿場町・富谷宿の開宿(1620年)にさかのぼる。富谷茶は宿場を代表する特産品で、盛岡藩の書物には「茶見世(茶店)大分有之候」「茶畑多し」との記述も。旅人を癒やした富谷茶が時を超えてよみがえる。

(河北新報)