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活きる食/ハタハタずし 個性いろいろ @秋田

自慢のハタハタずしを持つ三高水産の夏井勝博社長=10月29日、秋田県男鹿市
冬の食卓を彩る「ハタハタずし」は、秋田県内で古くから親しまれてきた伝統食だ。ハタハタ漁が盛んな男鹿市では各家庭で代々受け継がれてきた味があり、名人と呼ばれる人もいる。

今は水産加工会社が作るハタハタずしも広く出回っている。同市の三高水産は例年、年間約10トンのハタハタを使用し、県内の市場や土産品卸会社を中心に通年販売。同社は今年、10月下旬から正月用に販売する商品の仕込みを始めた。酢漬けしたハタハタに米、こうじ、ニンジン、カブなどを加え、たるの中で約3週間熟成させると、適度な甘みと酸味を持つハタハタずしの完成だ。

伝統食に詳しい秋田市の塚本研一さん(62)=元秋田県総合食品研究センター食品加工研究所長=によると、県内でも県北、県央、県南の3地域で製法に特徴があり、味も異なる。

男鹿市を含む県央はこうじを入れて乳酸発酵を促して作る。県南は砂糖を多く使うため甘みが強い。こうじを使わない県北は熟成期間が短く、あっさりとした味わいに仕上がる傾向にある。

「製法が異なる各地の味を食べ比べてみるのも面白い」と塚本さん。三高水産の夏井勝博社長(64)は「酒のつまみにもいい」と話す。

(秋田魁新報)