観光音声ARで恐怖体験/会津若松市・観光名所が肝試し会場に
薄暗くなった会津若松市の鶴ケ城を歩いていると、スマートフォンに接続したヘッドホンから「助けて」という女性の声が聞こえた。恐怖に負けず歩き続けていると、後ろから追いかけてくるような人や馬の足音、黒電話が鳴る音も流れた。
県内有数の観光名所を一瞬で肝試し会場に変えるのは「音声AR(拡張現実)」の技術だ。スマートフォンアプリ「SARF(サーフ)」を使い、特定の場所に近づくと、恐怖を誘う音声や怪談話が自動で流れる。音が流れる場所は画面上で確認できるが、画面に表示されない「隠れスポット」もある。
「音声ARを使えば、高額な投資をして新しい施設を造らなくても、街の新たな魅力をつくることができる」。アプリを開発した音楽ソフト大手エイベックスの担当者は強調する。
市は新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、人出が比較的少ない夜なら安心して観光を楽しんでもらえると考え、音声ARを使った肝試しを企画した。市の担当者は「スマホ一つあれば、好きなタイミングで一人でも観光を楽しむことができる。肝試し以外にも、城下町の景観を生かした取り組みを考えたい」と話している。
(福島民友)