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人・産業自宅で買い物、リアルタイム / 南相馬でVR実証

VRグラスを使い遠隔で買い物する高橋さん。画面はグラスに映る総菜コーナー=2021年9月、福島県南相馬市

東京電力福島第1原発事故の避難で高齢化が急速に進んだ福島県南相馬市小高区。日用品の買い物に不便を抱える高齢の買い物弱者を支えようと、VR(仮想現実)技術を使った買い物支援サービスの実証が全国に先駆けて始まっている。

サービスはVRグラスやタブレット端末を介して、消費者が自宅にいながら実店舗でリアルタイムに買い物できる仕組みだ。高齢者だけでなく、新型コロナウイルスの影響で来店を控える消費者にも新しい買い物体験を提供する。

「実証を通して店側のメリットも大きいことが分かった」。サービスの設計や検証などを手掛ける一般社団法人NoMAラボ(南相馬市)代表理事の高橋大就さん(46)は語る。過疎化が進む地方でEC(インターネット通販)に踏み出す小規模店にとって、商品情報の登録などの手間が増える課題があった。しかし、このサービスで店側はカメラを設置する程度の負担で済み、労働コストが少ないという。

南相馬市をはじめ原発事故の被害を受けた12市町村の「食の復興」に取り組もうと、今春に東京から浪江町に移住した高橋さん。「この国一番のワクワクを創っていきたい」と意気込んでいる。

(福島民友)