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人・産業宮城県山元町「GRA」(イチゴ栽培) 経験と勘 デジタル化

タブレットでデータを見ながらイチゴの成長を確かめる岩佐社長。
つるされた白い箱がセンサー=2021年10月5日、宮城県山元町山寺

イチゴ産地として知られる宮城県山元町。先端技術を駆使し、高品質の果実を育てるのが農業生産法人GRAだ。「農家の経験と勘を数値化し、安定的な生産を再現する」。岩佐大輝社長(44)が自社の強みを端的に表現する。

計約3・5ヘクタールのハウスはセンサーが張り巡らされ、温度や湿度、二酸化炭素濃度、日照量、風向などをリアルタイムで感知する。最新データに基づき、窓を自動開閉して風を取り入れたり、水を与えたりして最適な環境をつくり出す。

GRAは東京でIT企業を経営していた同町出身の岩佐社長が2012年に設立した。イチゴで東日本大震災からの復興をけん引すると決意し、経験がものをいう農業の世界にIT技術を導入。「他業界では当たり前の(計画、実施、評価、改善を繰り返す)PDCAサイクルを回していった」

「ミガキイチゴ」のブランドを確立し、1粒千円の高級品が話題を呼んだ。20年の収穫量は全国平均の倍という10アール当たり7トンを実現。カフェ9店舗を展開し、東南アジアや中東への輸出にも力を入れる。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)と農業の相性はいい。働き方改革にもつながり、次世代の農家に欠かせない」。岩佐社長は確信する。

(河北新報)