医療教育センターを開設
技術向上へ実践訓練
秋田県全体の医療水準の向上や医師不足解消を目的に、秋田大医学部付属病院(秋田市広面)に2012年3月、シミュレーション教育センターが開設された。外科や産婦人科の研修室などを配置。最新のシミュレーターで内視鏡手術や中心静脈カテーテル挿入のトレーニング、出産シミュレーションを体験できる。
指導に当たる秋田大大学院医学系研究科の安藤秀明准教授(51)=同病院緩和ケアセンター長=によると、医療技術習得の機会は臨床現場が主流だったが、近年は過度な緊張がなく時間的制約の少ないシミュレーション教育が重要視される傾向にあるという。
秋田大医学部5年の板垣吉典さん(22)=由利本荘市出身=も「実践的トレーニングを積み重ねられるので、本来の手術をイメージできる。技術を体験することにより何が難しいのかも分かる」と効果を実感している。
少子高齢化が深刻で医療圏が広範な秋田県にとって、医師養成のための教育研修システムの拡充は喫緊の課題。センターは、学生への教育のほか研修医や産休育休などで現場を離れた女性医師、看護師のトレーニングの場として利用し、若手、女性医師の呼び込みにつなげたい考えだ。
センターは県内の他医療機関にも開放。目指すのは学生や研修医、看護師、薬剤師ら医療関係者が集い、技術向上を図る拠点施設。安藤准教授は「質の高い安全な医療を提供するために、積極的に活用してほしい」と呼び掛ける。
【秋田魁新報社】