家族本場で陶芸体験 親子の絆はぐくむ
福島県会津美里町は、「会津本郷焼」で知られる陶芸の里だ。戦国時代、蒲生氏郷が会津若松市の黒川城(若松城)の屋根瓦を焼かせたのが始まりとされる。会津松平藩の藩祖・保科正之の御用窯として栄えた。
会津本郷焼事業協同組合には十三の窯元などが加盟し、多くの窯元で絵付けや手びねり、ろくろを使った陶芸を体験できる。窯元ごとに作風が異なり、バラエティーに富んだ作品作りを楽しめるのが魅力だ。
同町川原町にある「流紋(りゅうもん)焼」の窯元には夏休み期間中、多くの家族連れが訪れた。親子が協力しながら皿やコーヒーカップを作ったり、一輪挿しに絵付けをしたりした。西会津町から訪れた母親は「子どもと相談しながら作ることで、親子の絆が強まった感じ」と笑顔を見せた。流紋焼社長で会津本郷焼事業協同組合理事長の弓田修司さん(48)は「家族で一緒に、ぬくもりのある作品作りに取り組んでいる。親子が触れ合うきっかけにもなっている。子どものころに体験し、親になって子どもと再び訪れるケースも多い」と話す。
東日本大震災、東京電力福島第一原発事故以降、風評被害などで客足は減少したが、NHK大河ドラマ「八重の桜」の波及効果や、町の復興キャラバン隊の誘客活動などもあり、親子連れの姿も目立つようになった。
町は四月から「赤べこ」の形をした観光周遊バスの運行を始めた。町内の神社・仏閣などを紹介するとともに、東北最古といわれる会津本郷焼の歴史を伝えている。
【福島民報社】