食心も支える愛情手料理
能代工業高校(秋田県能代市)バスケ部員の下宿
全国制覇58回を誇る男子高校バスケットボールの名門・能代工業高(秋田県能代市)。スピードとスタミナが鍵の「走るバスケ」が代名詞のチームの練習は厳しさを極める。全国各地の親元を離れ、名門の看板を背負って高みを目指す選手を支えるのは、愛情たっぷりの家庭料理だ。
38年間、能代市浜通町の自宅で下宿を営む金谷正子さん(75)は、朝の食卓に温野菜と脂の少ない肉料理を欠かさない。午前7時半からの朝練習でフル回転してもらうためだ。ハードな練習で食欲が落ちる選手が出てくると、喉の通りのいい野菜中心のスープなどを用意し、疲労回復に気を配る。
「食事はプレーを磨く選手たちの力の源。練習のつらさや親元を離れている寂しさを癒やし、料理で選手を元気づけたい」。下宿生は9人。一品一品に真心を込めることを忘れない。
「楽しく食べてもらうことが一番」と話すのは、選手を預かって約30年の長谷川静子さん(79)=能代市清助町。練習で帰りが遅くなる選手に合わせ、料理は「熱々」の状態で食卓に並べる。思うようなプレーができず落ち込んでいる選手には、特別に好物を出し励ますこともある。
長谷川さんは「温かい家庭料理で日々の緊張や疲れをほぐしてあげたい。栄養管理はもちろんだが、家庭を感じられる食卓であることも大事」。選手11人の体と心を食事でサポートしている。
【秋田魁新報】