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市民の活力源「朝ラー」
福島県喜多方市

蔵のまち・喜多方市の知名度を「全国区」にした喜多方ラーメンの店々に、早朝からスポーツマンや市民らが続々と入っていく。朝から店でラーメンを食べて英気を養う「朝ラー」だ。観光客には驚きでも、市民にはなじみの光景という。

チャーシューの量が多くて人気の坂内食堂は、朝7時からユニホーム姿の客や家族らで席が埋まる。早起き野球やソフトボール、太極拳など生涯スポーツが盛んな同市。朝の試合を終えるやいなや、早速一杯をと駆け込んでくる。

早起き野球を済ませたばかりの遠藤達矢さん(26)は「ラーメンは週3回以上。子どものころから朝ラーで育った」と笑顔。「時間があれば仕事前でも食べに行く」と、ラーメンが活力源だ。チームメートの野辺善裕さん(32)も「朝野球の日は必ずラーメンを食べて反省会」と話す。朝とはいえ、スポーツの後ならばラーメンも重くはない。

「朝から馬力を出したいお客さんが多かったから」と、喜多方ラーメンのボリューム感と朝ラーの関係について坂内食堂の店主坂内章一さん(55)が説く。「3交代制の工場の夜勤明け職員のため」「農家の朝仕事の後に出前した」など「朝ラー」の起源は諸説あるが、1970年代には市内に広まり、現在は10店以上が朝から店を開けている。

 最近は、市民だけでなく観光客にも浸透し始めた。行列ができる人気店でも、朝なら待たずに入れる。店とファンの「おいしい関係」が広がっていく。

【福島民友】