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復旧作業員の食支える
ここなら商店街(福島県楢葉町)

東京電力福島第1原発事故に伴い、除染や復旧工事など数千人の作業員が連日汗を流す地元の福島県双葉郡。原発20キロ圏内で、ほぼ全域が避難指示解除準備区域の楢葉町に今夏開店した仮設共同店舗「ここなら商店街」は昼時、多くの作業員らでにぎわう。食堂とスーパーの3店舗が作業員の「食」を支えている。

おらほ亭の横田峰男代表(49)は「想定と違ったな」と頭をかく。健康を気遣ったサラダなどが売れ筋と考えていたが、違った。

想定の2倍の1日平均100人以上が訪れ、うち8割が作業員。黒酢ドレッシングの野菜サラダは売れず、人気はトンカツ定食。「今の双葉地域の特殊性を理解できていなかった」

作業員はカロリーを多く消費する。「栄養も考えながら、いかにボリュームも大切にするか」が前提だと気づいた。栄養士の店員と相談し、旬の根菜を使ったけんちんうどんなどもメニューに加える予定だ。

無添加しょうゆを使ったり、かき揚げに豆を使うなど食材にはこだわり、手間を掛ける。「お客さまが気付かなくても、健康的で、自分が満足できる料理を」と横田さん。なじみになった作業員から「明日もまた来るよ」と返る言葉が、自身には栄養源だ。

他の2店舗も作業員の健康には気を留める。老舗の「武ちゃん食堂」は定食に付く小鉢の「トロロ」が好評。スーパー「ブイチェーン楢葉店」では野菜を多く使った弁当や小さな野菜サラダも人気だ。

【福島民友】