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患者に食の喜び提供
富士通子会社・野菜工場(福島県会津若松市)

富士通の100%子会社「富士通ホーム&オフィスサービス」(本社・神奈川県川崎市)は、福島県会津若松市の旧半導体工場を活用して低カリウムレタスの栽培に取り組み、腎臓病患者らに食の喜びを提供している。

野菜工場は、世界的な半導体の需要減に伴う富士通の事業再編で誕生した。半導体を製造していた滅菌のクリーンルーム2千平方メートルに、発光ダイオードなどを使った水耕栽培設備を整えた。一日で最大3500株の出荷が可能で、今年5月から販売を始めた。露地栽培とは異なり、洗わなくても食べられ、冷蔵庫で2週間、保存してもシャキシャキ感が楽しめる。

一番の特徴はレタスに含まれるカリウムが少ない点だ。腎臓病は、カリウムの体外排出を困難にし、体内にたまると不整脈や血圧低下などの症状を引き起こす。野菜はカリウムが豊富で、患者に提供するには調理が必要だが、このレタスは生で食べられる。

特殊な栽培法のため価格は高めだが、医療機関を中心に販路が広がっている。8月からは低カリウム野菜栽培の特許技術を持つ秋田県立大と共同研究を始めた。年度内にもホウレンソウなど新商品を開発する計画だ。

富士通ホーム&オフィスサービス先端農業事業部生産部長の宮部治泰さん(50)は「患者から生野菜のおいしさを思い出させてくれたという声が寄せられている。レタスのほかにも生野菜のおいしさを多くの患者に伝えたい」と話している。

【福島民報】