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漁師手作り、人気の薫製
山田の牡蠣くん(岩手県山田町)

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一面にカキ棚が広がる岩手県山田町の山田湾。同町産のカキを使い漁師が手作りする「山田の牡蠣(かき)くん」は全国から注文が相次ぐ人気商品だ。

製造しているのは佐々木俊之さん(57)。自分で水揚げしたカキを薫製にし、天然塩で加工、イタリア産のオリーブオイルに漬け込む。一口食べるとカキのうまみが口いっぱいに広がる。酒のさかなとしてそのまま食べてもいいし、パスタやサラダなどにあえてもいい。幅広い楽しみ方ができる。

2009年に発売し、予約待ちがでるほど順調な営業だった。しかし、東日本大震災で新築したばかりの工場や自宅を失った。借金を抱え再建を諦めかけていたころ、全国のファンから「またあの味を」と激励された。「せっかく生き延びた命。待っていてくれる人がいたから前を向けた」と振り返る。

被災事業所に工場を無償貸与する制度を利用し、11年夏から内陸部の花巻市で製造を再開。13年8月に山田町に戻り仮設工場ながら製造を始めた。

震災から間もなく4年がたつが、被災地の漁業は厳しい状況が続く。「生鮮魚介類だけでなく加工品でも『三陸産』のブランド化を図り、山田町活性化の手助けになれば」と新たな商品の開発も目指し、古里の再興を後押しする。

価格は税込みで、大瓶(220グラム入り)2600円、小瓶(100グラム入り)1300円。問い合わせは山田の牡蠣くん(0193・77・5200)へ。
【岩手日報】