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風評被害払しょく図る
西郷アグリネットワーク(福島県西郷村)

福島県の南端、首都圏の通勤圏として新幹線も止まる西郷村で、30〜40代の若手農業者がつくった「西郷アグリネットワーク」は震災と原発事故の後、風評被害を吹き飛ばせと、農産物のブランド化を進めている。鈴木亮太郎代表(34)は「これという特産品がない村で『西郷ブランド』を確立したい」と意気込む。

約20人の会員たちは転職して農業を始めた新規就農者だ。農家生まれでないが夢を求めてとびこんだ若者も多い。農業の初心者たちが2012年9月、鈴木さんの働き掛けでネットワークを組織し、定期的に情報交換を始めた。

会員の共通課題は販路開拓。震災後は県外で野菜を売ることが難しくなった上に「ただ出荷すれば売れる時代ではなくなった」と鈴木さんは指摘する。

昨秋、タマネギと米をブランド化の対象作物に選んだ。タマネギは白河市の加工業者と連携して6次産業化を図り、「脱サラドレッシング」を商品化した。脱サラ農家の意気込みを込めた多用途の逸品で、「県外での販売会でも好評。みんなで同じ物を作ることで売りやすくなった」と鈴木さんは手応えを感じている。

販路開拓の第一歩は地元から。今夏から月1回、村内で新鮮な野菜やドレッシングを販売する「西郷軽トラ市」を始めた。「地産地消ならば、出荷の経費も安くて済む」と会員の藤井貴之さん(37)は力が入る。地に足を着けた取り組みが農業の新しい形を生み出そうとしている。
【福島民友】